先日、ふなばしアンデルセン公園に行った際、ニイニイゼミの羽化に立ち合うことができました。セミの羽化は夕方から夜にかけて行われることが多いのですが、運良く日中の時間帯に目撃することができました。今回はその時の様子を観察した記録になります。
ニイニイゼミの生態
ニイニイゼミは日本全国の広い範囲に生息しています。体長は約20mm~24mm程度の小型のセミになります。見た目の特徴は、小型な上に身体も羽根も灰褐色をしているため、木と同化して大変見つけにくい点が挙げられます。私が子どもの頃は個体数もそれほど多くなかった印象ですが、近年は千葉県の東葛飾地域でもよく鳴き声を聞くポピュラーなセミになりました。
成虫は他のセミよりも早い6月下旬~7月頃にかけて多く見られ、鳴き声は「チーーージーーーチーーージーーー」を繰り返すような声で鳴きます。鳴いているのはオスです。
セミの羽化は地上に出てきたその日のうちに行われますので、羽化を観察できる時期は成虫を見かける時期と重なります。
幼虫の採集
ニイニイゼミの幼虫は他のセミと同じく公園などで採集できますが、発生場所は偏っているように思います。いる所にはいるし、いないところにはいない印象です。しかし羽化の習性は他のセミと同様で、暗い時間になると幼虫が地上に出てきて羽化を始めます。幼虫を採集したい場合はその時間帯を狙って、歩いているところや木に登っているところを探して捕まえます。実は今回の観察を行う少し前にニイニイゼミの抜け殻が多く見られる公園に幼虫を探しに行ったのですが、あいにく見つけることができなかった経緯がありました。そんな矢先に、たまたま羽化に遭遇することができました。
ニイニイゼミの幼虫は身体全体に土をまとっているような姿をしており、またサイズも他のセミの幼虫よりも小さいため簡単に見分けがつきます。羽化は比較的低いところで行われるのも特徴のひとつです。ふなばしアンデルセン公園では木の低いところで多くの抜け殻が密集しているところを何か所も目にしました。
今回はふなばしアンデルセン公園内の森を散策していた時に羽化を始めているニイニイゼミの幼虫を発見しました。時間は10時15分頃でした。
※幼虫を採集して羽化を観察したい方は、アブラゼミの羽化についてまとめたこちらの記事もあわせてご覧ください。
ニイニイゼミの羽化を観察
ニイニイゼミの羽化を観察した時の様子を、時間の経過とともに見ていきます。
10時15分
すでに背中が割れて始めているニイニイゼミを発見しました。ここから観察を始めました。
10時20分
背中の大部分から目のあたりまでが殻から出てきた後、全体の80パーセント近くが上の方に出てきました。ここから少しずつ下の方へ反り返っていきます。
10時32分
頭を下にして反り返り、一旦動きが止まりました。ここで少し体力を蓄えて、腹筋を使って起き上がる準備をしているのでしょう。
10時40分
腹筋を使い身体を起き上がらせます。殻を掴み、安定するポジションを確保します。足場が安定したら殻から尻尾を抜いてまっすぐな姿勢になります。そしてここからは丸まっていた羽根が徐々に下に伸びていきます。
10時45分
だいぶ羽根が伸びてきました。結構風が強く吹いていて身体が煽られる場面もあり、羽根がきちんと伸びるか心配ですが、ここで観察を終了しました。
※観察の様子を動画でもご覧いただけます
まとめ
今回は偶然日中に見かけたニイニイゼミの羽化の観察の様子をお伝えいたしました。ニイニイゼミの幼虫は身体も小さく、アブラゼミやミンミンゼミと比べると肌色で目立たず地味な感じでしたが、自分自身ずっと見てみたいと思っていたニイニイゼミの羽化を目撃することができて、大変満足できました。
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