国産カブトムシの幼虫は丈夫で複数匹をまとめて飼育することもできますが、成長していく様子を観察するには個別飼育がオススメです。今回はそんな個別飼育に最適な飼育ボトルをご紹介します!
カブトムシが幼虫から成虫になるまで
カブトムシは7月から8月頃に産卵し、卵から孵化すると脱皮を繰り返して1令幼虫(1週間ほど)→2令幼虫(3週間ほど)→3令幼虫と成長していきます。3令幼虫は秋にエサをモリモリ食べて大きく成長しますが、冬はあまり活動せず、春になるとまたエサを食べ始めて5~6月に蛹(さなぎ)になります。そして7~8月頃に羽化をして成虫として活動を開始します。
幼虫が小さいうちは複数でたくさん一緒に飼ったり、小さな容器で飼育していても問題ありませんが、幼虫の成長スピードは想像以上に早いです。一般的なサイズの幼虫は、卵から孵化して1cmぐらだと思っていたら、1か月もすると8cmぐらいに成長します。手狭になる前に個別飼育に移行してあげた方がよいと思います。
個別飼育のメリット
カブトムシの幼虫の個別飼育にはいろいろなメリットがあります。透明なボトルであれば日々の幼虫の動きを観察できることも多く、それによって成長を確認できるので愛着が沸きます。また、集団飼育の場合は幼虫の密度を気にする必要がありますが、個別飼育の場合はその必要がなく、結果的に大きく育てやすいです。容器が小さいので室内でも飼育しやすく、頻繁に確認することで幼虫の変化にも気づきやすいです。私は玄関をメインに飼育していますが、出入りする際いつも目に留まるので、自然と様子を確認してしまいます。
そして何より一番のメリットは、蛹の状態や羽化を観察できる可能性があるということではないでしょうか。カブトムシの幼虫は土の中で羽化し、身体が出来上がったタイミングで地上に出てくるので、通常は観察することができません。集団飼育を行っている場合も、例え透明なケースを使っていたとしても壁際で羽化してくれることは少ないですが、適度な大きさのボトルで個別飼育することで蛹の様子を観察できる可能性が高くなります。せっかく育てるならその感動的な成長過程を観察したいですよね。
あえて個別飼育のデメリットを挙げるとするならば、集団飼育と比べて頻繁にマット交換が必要である点と、たくさん飼う場合は場所を取るということでしょうか・・・。
飼育に必要なボトルの条件
カブトムシの幼虫を羽化まで同じ容器で飼育する場合、気を付けなければいけない点があります。それは容器の「深さ」です。カブトムシは蛹になる前に蛹室(ようしつ)と呼ばれる縦長の部屋を作るのですが、大きなオスの場合は10cm近い大きさになります。そのためマットの深さが10~15cm必要になります。しっかりと深さを確保できれば、容器の大きさはあまり気にしなくて大丈夫です。
オススメの飼育ボトルはコレ!
私がオススメする飼育ボトルは、100円均一ショップのSeria(セリア)に売っている「PETシンプルボトル L 」です。こちらは直径10cm、高さ15cm、容量は1Lで必要十分なちょうどいいサイズになっています。ボトルも程よい硬さですし、フタもスクリュー式なので幼虫が逃げ出すこともありません。容器に文字なども入っていないため、観察しやすいのもポイントです。
ボトルの加工
購入したボトルのままだと通気が悪いので、フタに穴を開けてあげる必要があります。穴あけはドリルやハンダごてなどを使います。ここではハンダごてを使う方法をご紹介します。
まずはフタを外し、中のシートを外します(これは使わないので捨ててしまって問題ありません)。
続いてフタの裏側からハンダごてで9か所穴を開けます(穴の数はあくまでも目安)。
溶けて盛り上がった部分が気になる場合はカッターナイフを使って削り取ります。
※穴を開けた直後は高温になっていますのでヤケドに注意してください
そのままでも使用できますが、コバエ対策として空気を通すテープやシールを外側から貼ります。私はDAISOで売っているメッシュタイプのサージカルテープを使っています。
通気孔を塞ぐものとしては、タイペストシールという便利なものも売っていますので、興味のある方はチェックしてみてください。
セッティング
加工が終わったら、ボトルにマットを12cmほど詰めていきます。その際、ボトルの底を掌でトントン叩いて少しマットを締めましょう。上からギュウギュウと押し付ける必要はありません。硬く詰めてしまうと幼虫が動き回った時にかき回されてマットの容積が増えてしまいますので、適度に詰める程度がいいです。
マットの上に幼虫を優しく置いてあげると自力で潜っていきます。最後にフタをしてセッティング完了です。
日々の管理
マット交換のタイミングと方法
カブトムシの幼虫はマットをよく食べてたくさんフンをします。フンは細長い黒い塊で、そのフンが目立つようになってきたらマットを交換してください。大きな容器で育てる場合は数か月に1度程度の交換でもいいのですが、このボトルはそれほど容量が大きくないので、2週間に1度を目安にチェックしてあげるといいと思います。
マット交換のやり方ですが、私の場合は使用していたマットをふるいにかけてフンを取り除き、減った分だけ新しいマットを混ぜています。この方法で問題なく大きく育ってくれています。もしもすべて新しいマットに交換する場合も、環境に馴染みやすくなるように古いマットを少し入れてあげましょう。
水やり
表面が乾いたら軽く霧吹きをする程度で問題ありません。マット交換のタイミングで乾燥が気になるようでしたら加水してあげましょう。
蛹化が近づいてきたら・・・
カブトムシの幼虫は3月下旬から4月上旬になると身体が黄色くなってきます。これは十分に育ったサインです。蛹になる準備を始める段階ですので、最後のマット交換を行います。それ以降はあまり動かさないようにして、幼虫が蛹になるのを見守りましょう。
ボトル飼育で成長過程を観察しよう!
今回はカブトムシの幼虫飼育にオススメのボトル「PETシンプルボトル L 」(セリア)をご紹介しました。こちらのボトルは容器が大き過ぎず直径(幅)も広くないため、幼虫がどこにいるか確認しやすく、さらには蛹の状態を観察できる可能性が結構高いことが魅力です。昨年私はこのボトルを使って幼虫を個別飼育していたのですが、なんと10匹中10匹すべてが壁面の見える所に蛹室を作ってくれました! そのおかげで蛹の状態や羽化の様子もバッチリ観察することができました。さすがに常に100%とはいかないと思いますが、結構な確率で蛹や羽化を観察できるのではないかと思います。また、羽化不全もなくみんな立派なカブトムシになることができましたので、ぜひみなさんも使ってみてください!
ボトルの加工は面倒だけど幼虫の様子を観察してみたいという方は、奥行きの狭い専用ケースも販売されているのでチェックしてみてください。