路面が凍結した時や雪道を走る時には、冬用タイヤを履いたりタイヤチェーンを装着したりと対策が必要になります。そんな中でも近年話題になってきているのが布製タイヤチェーンです。軽量・コンパクトであることに加え、装着がとても簡単だということですが、果たして本当に簡単に取り付けることができるのでしょうか。今回は女性ひとりで取り付けを行ってみた結果をレポートしていきたいと思います。
布製タイヤチェーンの特徴
タイヤチェーンは大きく分けて金属性、非金属性(ゴムなど)、布製の3種類があります。その中でも布製タイヤチェーンは比較的新しい製品で、以下のような特徴があります。
メリット・デメリット
布製タイヤチェーンが優れているところと劣っているところを簡単にまとめると・・・。
■メリット
・取り付け、取り外しが簡単にできる
・軽量、コンパクト
・他のタイヤチェーンに比べて静かに走行できる
■デメリット
・耐久性が低い
なお、国土交通省から出される「チェーン規制」でも、布製カバータイプの製品はタイヤチェーンの対象として認められています。
使用に関する注意点
■必ずタイヤサイズに合ったものを選ぶ
タイヤチェーンを使用する際は、タイヤのサイズと適合しているかを必ず確認してください。タイヤのサイズはタイヤ側面に「165/65R15」といったような形で表示されています。これは「タイヤ幅(mm)/偏平率(%)Rリム径(インチ)」を表しています。ご自身の車の番号を確認し、必ず適合するものを使用しましょう。
■駆動輪に装着する
タイヤチェーンは基本、駆動輪のみに装着します。素人考えでは4本すべてに取り付けた方が効果が倍増しそうな気がしてしまいますが、実際はそうではなく、一般的にはFFは前輪、FRは後輪、4WDは車種によって前輪か後輪のどちらか、という風に言われています。不安な方は直接自動車メーカーに問い合わせてみてください。
■走行できるのは雪道や凍結路のみ
タイヤチェーンは雪道や凍結路を走行するための道具ですので、乾燥路面の走行には適していません。装着の必要がなくなったらすぐに取り外すようにしてください。特に布製タイヤチェーンの乾燥路面での走行は製品への負担が大きく、劣化を早めてしまう原因になるでしょう。
■駐車中は取り外しておく
製品の注意書きの中に、駐車中は取り外すようにとの記載がありました。製品の特性上、素材が水分吸収してしまうため、凍結して地面とくっついてしまう恐れがあるからでしょうか。ある程度の時間駐車する場合は取り外しておく必要がありそうです。
■劣化していないかこまめにチェックする
他のタイヤチェーンに比べ布製タイヤチェーンは耐久性が低いため、繰り返し使う際は劣化の度合いを確認してから使用するようにしましょう。せっかく雪道対策をしているのに、劣化して本来の性能を発揮できなければまったく意味がなく、かえって危険です。使用限度の目安については、各製品の取扱説明書等でご確認ください。
購入した商品のご紹介
「オートソック」について
今回購入したのは「オートソック」という商品です。
こちらは雪国であるノルウェーのAutoSock社が2000年から販売を開始した商品で、世界初の布製の滑り止め製品として各国のユーザーから高い評価を受けており、日本でも日産自動車の純正用品として取り扱われています。また、Amazonの売れ筋ランキングでも車用タイヤチェーン部門でベストセラー1位に輝いています。
製品について詳しく知りたい方は販売代理店サイト(https://autosock.jp/)にてご確認ください。
※ご購入の際は必ずタイヤサイズを確認し、適合した製品を使用してください
商品の中身を確認
こちらの製品は厚手のビニール製の袋(写真上)に入っており、このまま保管することができます。とてもコンパクトに収納できるので場所を気にせず車に積んでおけます。
中身を確認すると、オートソック本体(2本分)と取扱説明書、作業用の手袋(小さく折りたたまれたオレンジのもの)の3点が入っていました。取り付けに必要な工具などはなく、とてもシンプルです。
実際に取り付け、取り外しをしてみました
雪が降ってから慌てないように、あらかじめ装着と脱着の練習をしてみます。
まず事前準備として、実物の確認と装着手順に目を通します。といっても取扱説明書に書かれている手順は驚くほどシンプルです。駆動輪に付けるという点さえ間違えなければ簡単に取り付けられそうな感じがします。イメージができたら作業に取り掛かりましょう。
取り付けにかかった時間は?
取り付けを行ったのは、タイヤチェーン自体一度も取り付けた経験のない、平均身長で瘦せ型の女性です。今回はテストということで、片輪のみの装着で時間を測定してみました。果たしてどのくらいの時間で取り付けられるでしょうか。早速スタートです。
まずはタイヤの上から下に向かい、タイヤ全体を覆うように製品をかぶせていきます。
続いて車を動かしてタイヤを半回転させ、残りの部分を奥までしっかりかぶせます。
はい、これで完了です。えっ、衝撃的なほど簡単だったんですけど・・・。
あとは走っているうちに自動的にバランスが補正されるということです(スゴイ!)。ちょっと車を前後に動かしてみましたが、確かに取り付けた直後よりもしっかりとタイヤに馴染んでいるのがわかります。
さて、取り付けにかかった時間は・・・
なんと2分22秒!
仮に両輪とも取り付けたとしても5分足らずで装着できますね。非金属チェーンの装着に四苦八苦していた私からすると、あまりにもあっけなく終わってしまい本当にビックリしました。実際に取り付けた本人も「名前の通り靴下を履かせるような感覚で簡単にできた」と言っておりました。
取り外しにかかった時間は?
続いて取り外しの作業をやってみます。こちらも片輪のみで測定していきます。
オレンジ色のベルトを手前に引っ張り、上部から手前に外していきます。あとは車をタイヤ半回転分ほど動かして取り除くだけです。
取り外しにかかった時間は・・・
はい、1分35秒でした。
両輪合わせても3分程度で取り外すことができますね。笑ってしまうほど簡単でした。
まとめ(こんな人にオススメ)
今回はタイヤチェーンを取り付けたことのない女性が、どれぐらいの時間で布製タイヤチェーンを取り付けられるかを検証してみました。
取り付けに関して言えば、間違いなくどのタイヤチェーンよりも遥かに簡単に装着することができます。そのためタイヤチェーンの取り付けに慣れていない方には大変オススメです。
機能面については、今回実際に雪道や凍結路を走行しての検証は行っていませんが、チェーン規制のかかった道路でも使用が認められていることを考えると、問題ないと言えるのではないかと思います。
一番の懸念点は耐久性の部分です。こちらも実際に走行していないため何とも言えませんが、販売サイトの口コミなどでは1度きりの使い捨てではなく、何回か繰り返し使用することはできるようです。
普段から雪の多い地域で頻繁に使用するには不向きかもしれませんが、滅多に雪の降らない地域でもしもの時に備えて車に積んでおくといった場合には、とても心強いアイテムになるのではないかと思います。いざという時、取り付けの難しいものだと慣れていない分余計に時間もかかってしまいます。ましてや寒い中でやらなければならないとなると、その作業は短時間で簡単にできるに越したことはありません。
今回の検証は以上となります。
定番の非金属チェーンの取り付け検証を行った記事もご参照ください。
タイヤチェーンの購入をお考えの方の参考になれば幸いです。